防災技術GTフレーム工法

GTフレーム工法
全面緑化できる新しい吹付のり枠工

GTフレーム工法®
GTFM
国⼟交通省 NETIS登録
「平成30年度 推奨技術」

「GTフレーム工法®」は、鉄筋やモルタル(コンクリート)を使用した従来ののり枠工とは違い、のり枠材に補強盛土工法などで用いられるジオシンセティックス(ジオグリッド、短繊維)を用いた新しい吹付のり枠工法です。
全面緑化による景観保全やCO2排出量および現場廃棄物を大幅に削減するなど、さまざまな面から環境負荷の低減に貢献します。さらに、ねばり強くのり面・斜面を守るとともに、施工が容易で、工期が大幅に短縮でき、かつ経済性に優れたのり面表層保護工です。

国土交通省NETIS「平成30年度 推奨技術」に選定されました。

国土交通省では、公共工事等における幅広い活用や飛躍的な改善効果が期待できる画期的な技術を、有識者会議(新技術活用システム検討会議)において、「推奨技術」等として選定し、当該新技術の普及啓発や活用促進等を行っています。
「推奨技術」とは、公共工事等に関する技術の水準を一層高めるために選定された画期的な新技術であり、NETISの中では最高ランクの高い評価を受けたことになります。

GTフレーム工法を使う現場

GTフレーム工法を使う現場

適用範囲

  • のり面・斜面における表層部の侵食防止
  • 生育基盤の安定および生育環境の整備
  • のり面・斜面における小規模な表層すべりの抑制(すべり深さ0.5~1.5m程度、 すべり長さ4.0m程度まで)

【のり面勾配】
1:0.5~1:2.0程度(安定したのり面勾配とする)

【対象土質】
砂質土、粘性土、礫混じり土、軟岩


適用の効果が高い現場

特に適用の効果が高い現場

  • 全面緑化による景観保全を重視する現場
  • 急傾斜地等の狭所で材料運搬などの作業が制限される現場
  • 早急なのり面・斜面対策が必要とされ、工期短縮が要求される現場

GTフレーム工法による7つのメリット。

モルタルや鉄筋を使用しないまったく新しいのり枠構造により、さまざまなエコ機能・性能を発揮します。

【環境】3つのエコ機能で環境負荷の低減に貢献します。

メリット
CO2削減 ─ CO2排出量を減らした「省エネ型工法」

建設資材の中でセメントや鉄は、大量の熱エネルギーを消費して製造されます。本工法は、従来工法に比べて、こうした資材の使用量が少なく、施工性が格段に向上するため、CO2排出量を大幅に削減できます。

メリット
廃棄物削減 ─ ゴミ(廃棄物)を減らして「eco」

GTフレーム工法の吹付材は、植物の生育が可能な改良土であるため、シート養生やリバウンドロスの処理が不要で、従来工法に比べて余分なゴミを出さず、廃棄物発生量を大幅に削減することができます。

メリット
美観・景観性 ─ 全面緑化によって緑豊かな景観を創造

短繊維混合補強砂で造成されるGTフレームのり枠は、植物の生育が可能であるので、のり枠面を含む全面緑化が可能となり、自然と調和した緑豊かなのり面・斜面を造成でき、景観性が向上します。

植物の生育性

短繊維混合補強砂で造成されるGTフレームのり枠は、植物根系の伸長が可能で、植物が生育できる環境となります。

植物根系の伸長状況
土壌硬度25~30程度

全面緑化

GTフレーム工法は、のり枠面も含む全面的な緑化対策が可能であるため、緑豊かな美しい景観を創造します。
全面緑化により、周辺環境と調和した景観形成が可能です。

【性能】新しい『柔構造のり枠』により、さまざまな性能を発揮します。

メリット
力学的特性 ─ ひみつは2種類の短繊維とジオグリッドの組み合わせ

ジオグリッド「GTフォーム」と短繊維「GTファイバー」を混合した改良土(短繊維混合補強砂)との組み合わせは、柔なのり枠の構造部材として、ねばり強くのり面・斜面を守ります。

短繊維混合補強砂の力学的特性

太さ・長さの異なる2種類の短繊維を選定・コンポジットし、改良土に混合することで、ねばり強さやせん断強さなどの強度特性が向上します。 豪雨等に対する耐侵食性についても高い効果が確認されています。

改良土の一軸圧縮試験

ジオグリッドの力学的特性

短繊維を混合した改良土とジオグリッドを組み合わせた複合材料とすることで、のり枠形状を拘束する効果が働き、強度特性を向上させ、ねばり強い柔構造のり枠となります。

のり枠供試体の載荷試験
メリット
施工性の向上 ─ 軽量・シンプル・コンパクトで抜群の施工性

使用材料が軽量・コンパクトであるので、狭所での運搬や急傾斜地での作業が容易となり、施工性が向上し、安全作業にも貢献します。大幅な工期短縮も可能です。施工機械は通常使用している吹付プラントで施工が可能です。

扱いやすい材料

長尺・重量物となる鉄筋や金網型枠等を使用しないので、運搬が容易、斜面上での取扱いが容易で、施工性は抜群です。

高所・長距離も吹付可能

吹付材は、圧送性や吐出性が良好な改良土を使用するため、高所・長距離でも施工が可能です。高所・長距離のモルタル吹付で必要だった専用機械や仮設対策などが省略でき、施工性の向上、コスト縮減にも貢献します。

高所での施工事例(直高約120m)

施工スピードもアップ

シンプルなのり枠構成により、施工能率が格段にアップ。大幅な工期短縮が可能です。

メリット
コスト縮減 ─ ムダを省くことでコスト縮減を実現

軽量でシンプルなのり枠構成は、施工能率を格段にアップするとともに、廃棄物処理に必要な作業や処理費を省略でき、施工コストを削減することができます。

メリット
優れた耐久性─ 耐久性に優れた材料で性能を確保

使用する材料は、耐候性・耐薬品性などの耐久性に優れるものであるため、従来のモルタル吹付のり枠などで懸念されていたひび割れの発生による鉄筋の腐食などの問題がなく、一般的な使用環境下では長期にわたって耐久性に優れた工法として機能します。

施工方法

 

標準規格

標準図

改良土吹付 標準配合


施工方法

1
法面清掃工
2
芯出し工

のり枠配置ピッチの位置出し

3
ジオグリッド設置工

GTフォームの加工・設置・組立

  • 材料は軽量・コンパクトで施工性は抜群です
  • ジオグリッド設置完了
4
L型アンカー工

GTアンカーの打設

5
改良土吹付工

改良土(短繊維混合補強砂)の吹付

  • 施工機械は一般に使用されている吹付プラントで施工可能です
  • 改良土吹付完了
6
ラス張、植生基材吹付工

全面にラス張、植生基材の吹付

  • 植生基材吹付完了
完 成

審査証明

建設技術審査証明を取得

本工法は、平成21年4月14日付で(一財)土木研究センターの建設技術審査証明事業(土木系材料・製品・技術、道路保全技術)において、建設技術審査証明を取得しました。(建技審証 第0902号)
また、平成30年11月に(一財)土木研究センターより、「GTフレーム工法®」設計・施工マニュアル(改訂版)が発行されています。

建設技術審査証明の概要

■ 技術の名称(副題)
GTフレーム工法®(ジオグリッドおよび短繊維混合補強砂を用いたのり面表層保護工)

■ 開発の趣旨
のり面・斜面の侵食および小規模な表層すべりに抵抗できる補強性能と、全面緑化および廃棄物発生量の削減が可能な環境性能を有するとともに、耐久性、施工性、経済性に優れたのり面表層保護工を開発することを趣旨とする。

■ 審査証明の結果

  • (1) 改良土(短繊維混合補強砂)の強度・物理性能
    強度、耐侵食性および耐久性試験により、改良土は、「GTフレーム工法®」ののり枠部分に用いる材料として必要な強度特性、耐侵食性および耐久性を有する。

  • (2) ジオグリッドの強度・物理性能
    強度および耐久性試験により、ジオグリッドは、「GTフレーム工法®」ののり枠の構造部材として必要な強度特性および耐久性を有する。

  • (3) のり枠(ジオグリッド+改良土)の強度性能
    水平方向および鉛直方向の引張抵抗力試験により、のり枠は、小規模な表層すべりに対し、柔な構造部材として抵抗することができる強度特性と付着力を有する。

  • (4) 施工性
    現地調査により、従来工法(モルタル吹付法枠工、簡易法枠工)と比べて、施工性が良く、工期が短縮できる。

  • (5) 環境負荷の低減
    現地調査により、従来工法と比べて、現場における廃棄物の発生量が少なく、のり面緑化面積を増大できる。

■ 審査証明の範囲

  • (1) のり面の侵食防止を目的として適用する。ただし、設計計算により安全性の照査を行った場合は、すべり深さ0.5~1.5m程度、すべり長さ4.0m程度までの小規模な表層すべりの抑制工として用いることができる。

  • (2) のり面勾配は、のり面上に吹付けた改良土が滑落・移動しない程度ののり面勾配(概ね1:0.5勾配以下)を対象とする。

■ 審査証明有効期間
2019年4月14日~2024年4月13日