造園技術屋上緑化

新しい都市の造園技術、屋上緑化を提案します。

ヒートアイランド現象の低減、建築物の断熱性向上と省エネルギー、身近な自然の回復などを実現するため建築物の緑化が有効な方策であると注目され、新たな緑地や用地の確保が困難な市街地においては、建物屋上を様々な植物で緑化する、屋上緑化に大きな期待が寄せられています。当社では、新宿三井ビルをはじめ三井住友海上火災本社ビル、汐留シオサイト、東京ミッドタウンなど多数の屋上緑化を施工してきました。これからも、建築物屋上の環境特性に対応し荷重の軽減、潅水工法、植物根の伸長と建築物の保護、ビル風対策など長年にわたる技術の蓄積と新たな技術開発により、さまざまな用途の建築物で屋上緑化を施工してまいります。

           
  • 東京ミッドタウン日比谷
  • 大橋JCT
  • セントラルパークイースト

屋上緑化の効果

屋上緑化は、建築物の保護、空調負荷の低減など省エネルギー効果といった経済的な効果を期待できるとともに、ヒートアイランド現象の軽減、雨水貯留と雨水流出の抑制、都市景観の向上、緑化による身近な自然を高める効果などの環境改善効果が期待できます。

主な効果

  • 緑被率増加によるヒートアイランド軽減効果
  • 建築物の熱環境改善効果
  • 雨水流出緩和効果
  • 都市大気の浄化効果
  • 生物環境の多様性効果

屋上緑化の温熱環境改善効果

建築物の屋上を緑化することにより、植栽土壌による断熱、植物による蒸散と植物自体による日射の遮蔽が期待できます。
これらにより単に熱を遮断するのではなく、熱を受けつつも適度に熱を吸収したり、植物が蒸散作用で自ら温度を下げたりなどしながら、建物を断熱しています。

【メリット①】
緑の断熱作用による真夏屋上の温度の違い

屋上緑化の有無による温度の違いを測定しました。緑化していない場合、屋上の表面は60℃まで上昇します。この熱は建物本体のコンクリートに蓄えらえ、日没後、午前3時ころまでかけて大気中に放出されます。その熱により大気が熱され、夜でも気温が下がりにくい状態になります。緑化した場合は植物の蒸散や土壌による断熱により、日中でも芝生表面で40℃程度までしか上がらず土壌の下の建物本体では一日を通じてほどんど温度が変化しません。


【メリット②】
緑の断熱作用による建物に出入りする熱流の抑制

屋上緑化の有無による建物への熱の流入を調べました。夏季晴天の日中、緑化していない場合は550W/㎡の熱量が建物内部へ流入するのに比べ、緑化した場合は熱の流入がほとんどなくなりました(0〜1.0W/㎡)。一方、夜間では、緑化していない場合は50W/㎡の熱量が屋外に放出されましたが、緑化した場合ではごくわずかしか放出されませんでした。屋上緑化は、昼間、日射による建物躯体の蓄熱を防ぎ、屋内への熱の流入を起こさせないなど、建物内外の断熱に役立つことが明らかになりました。


【メリット③】
植物の蒸散作用による温度の低減

外気温28℃に対し、非緑化タイル面は45℃前後を示していますが、緑化面は気温同等または若干低くなっています。熱を反射させて断熱すると、建物内部の空調効率はよくなります。しかし、反射された熱は結局外気や他の物体を暖めてしまい、外部の熱環境へ負荷を与えることになります。屋上緑化は負荷を外部へ転換せず、屋外空間の熱的快適性の保持に貢献しているのです。


【メリット④】
植物体による遮蔽作用

植物の根元で温度を測り、植物のタイプごとの地表面温度を下げる効果を調べました。枝葉が密に茂っている中低木の根元では、日中の最高温度が外気温より5℃低く、非緑化であるタイル面に比べると20℃以上低下していました。日射を遮る枝葉の密度や、葉群層と地表面の空気の動き(空間熱対流)が、温度を下げる効果と密接に結びついているものと思われます。

省エネルギー化

空調による夏の冷房、冬の暖房の消費エネルギーを低減。
経済的にも、大きなメリットとなります。

消費エネルギーの削減量

実測した温度をもとに、空調用消費エネルギーの削減量を算出してみました。しかし、建物が実際に使用されており、屋内側の状況が変化することや測定室外からの影響を受けることなど、多くの変動要因があります。そこで、屋内に関しては一定の条件を満たしたモデルルーム(30㎡)を想定し、シミュレーションしました。その結果、エネルギーを約4%削減(モデルルーム1室あたり7Mcal /日)することが可能と算出されました。

パンフレット「都市の熱環境の改善」(国土交通省 公園緑地課発行)より

屋上緑化の支援制度

屋上緑化の普及推進を図るため、国や自治体等においては緑化条例などにより、
緑化の義務付けや屋上緑化工事費の補助などさまざまな支援制度が整備されています。

義務づけによる普及推進
  • (1)屋上・壁面緑化を義務づける制度
誘導による普及推進
  • (1)敷地の義務づけ緑化面積に算入可とする制度
  • (2)緑化にかかる費用を融資する制度
  • (3)緑化にかかる費用を助成する制度
  • (4)緑化にかかる税を減免する制度
  • (5)建築物の容積率の緩和・割増をする制度
  • (6)その他苗木配布や技術指導、助言等を行う制度

詳しくは、「財団法人都市緑化技術開発機構」WEBサイトをご覧ください。